給与明細の電子交付を導入する企業が増えています。
「うちもそろそろ!」と考えている方も多いのではないでしょうか?
しかし、給与明細の電子交付を行うには、従業員から事前に同意を得る必要があります。
今回は、電子交付の条件や同意書の記載事項について説明します。
条件1.従業員の事前承諾
従業員の承諾は、メールなどの電磁的方法か書面で得るように定められています。
具体的にどういった内容を記載すれば良いかというと…項目や書式に決まりはありません。
ですが、以下のような事項を記載した同意書を用意することが考えられます。
項目 | 例 |
電子交付する書類の名称 | 給与明細票 賞与明細票 |
交付方法の方法 | メール … メールで送信する旨・メールアドレス Web閲覧 … Webを閲覧のために使用する旨・URL・閲覧方法 |
電子ファイルの記録方法 | PDF形式 HTML形式 |
交付予定日 | 毎月●日に交付 |
交付開始日 | ●年●月●日より交付開始 |
(従業員入力) | 電子交付を承諾する旨・同意日・氏名 |
※電子交付を承諾する旨は、文章を記載しておき従業員がチェックするだけの状態にしておくとスムーズです。
条件2.基準を満たした方法で電子交付すること
- 映像面への表示と書面への印刷が出来ること
- 従業員に対して、電子交付する(した)旨を通知すること
1つ目の基準の「書面への印刷」は、交付したデータがプリンターなどで印刷出来るかどうかということで、従業員がプリンターを持っているかどうかは関係ありません。
従業員のプリンターの有無は考慮しなくて大丈夫です。
2つ目の基準「従業員に対しての通知」は、同意書に「毎月●日に交付」というような文言を盛り込めば、都度通知を行う必要はありません。
また、従業員が電子交付した給与明細を既に閲覧済みであることが確認出来た場合についても、通知は不要です。
条件3.従業員から求められた時は、書面で交付すること
同意を得られなかった従業員に対しては、電子交付ではなく従来通り書面で給与明細を交付しなければなりません。
また、電子交付に承諾した従業員が書面での交付に戻したいと希望した場合にも、応じる必要があります。
その際、従業員はメールなどの電磁的方法か書面で、書面交付への変更希望申請を行います。
また、書面への変更ではなく、例えば何らかの手続き等で数か月分の紙の給与明細票が必要なった等、一部書面での交付を希望する場合には、書面交付の請求方法に別段決まりはありません。
メール・書面・口頭・電話など、都合の良い方法で請求して良いことになっています。
Q&A
承諾を得ずに給与明細を電子交付した場合、罰則はありますか?
ですが、トラブルを避けるためにも承諾は得ておきましょう。
Web閲覧の場合、従業員に対して、退職者に対して、それぞれいつまで閲覧可能な状態にしておく必要がありますか?
システムによっては、データの保存期間が決まっているものもあるので、導入前にチェックしておきましょう。
承諾を得る際の同意書や電子交付する給与明細は、電子署名など改変出来ないようにする措置が必要ですか?
ですが、データの真実性等を確保するためには、電子署名を利用した方が安全です。
条件を満たして、給与明細の交付を効率化!
給与明細の配布を円滑かつ円満に行うためには、交付側の独断で進めてはいけません。
罰則がないとはいえ、法律で決められていることなので、必ず従業員の承諾を得るようにしてください。
給与明細の電子化は、従業員にもメリットがあることですので、最初は否定的でも説得すれば承諾を得られる場合が少なくありません。
正しい手順で給与明細の電子交付を行い、効率化しましょう!
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