中小企業向け

売り上げに直結する「発信力」(後編)

SNSとインフルエンサー 認知と周知に向けた手法に

「バズる」という言葉をご存じの人も多いと思います。
SNSなどにおいて、投稿した記事、画像、動画などが非常に多くの人たちに注目を浴び、話題になることをいいます。

しかし、個人事業主や零細企業が商品や商材の情報をSNSに投稿し、それが「運良くバズる」のは至難の技です。「バズる」状態にまで到達するのは、宝くじの1等にでも当たるような確率です。

では、どうすれば「バズる」ことができるのか、または、どうすれば「バズらせる」ことができるでしょうか。
それを考えてみたいと思います。

そこで私は「インフルエンサーマーケティング」の手法をお勧めします。
近年では、多くの企業がこの手法を採用していることもありますし、大手の広告代理店なども利用しているので、ご存じの人も多いと思います。
これは、SNS上においてフォロワーが非常に多く、企業や個人への訴求力が強いだけでなく、影響力も強い「インフルエンサー」と呼ばれる人たちに依頼して、商品、商材、サービス、ブランドなどを広く紹介してもらう手法のことです。

有名インフルエンサーともなれば、フォロワーが数百万人にも及ぶとされています。ひとつの投稿が数百万人の人たちの目に触れることで、消費者の態度変容や行動変容を促すとされます。消費行動(購買動機)を喚起するには最大の効果が見込めるでしょう。

情報拡散と売り上げの上昇 あくまでも一時的に過ぎず

インフルエンサーとはいっても、テレビなどで頻繁に見掛ける大物芸能人も多くいますが、YouTube(ユーチューブ)での活動が専業のYouTuber(ユーチューバー)、ライブ配信を専業とするLiver(ライバー)と呼ばれる人たちの方が大物芸能人らよりも格段にフォロワー数が多く、それに比例して視聴者数も驚くほど多いのが実状です。

そのインフルエンサーに商品や商材、サービスやブランドなどの情報をSNS上で拡散してもらうことで、瞬時に全国の非常に多くの人たちへの周知が可能となります。

ただし、有名なインフルエンサーに依頼するともなれば、情報の紹介に大きな対価が必要となります。どのインフルエンサーに、いつ、どんな情報を拡散して欲しいのか、それを考えたうえで、依頼することが重要です。単に情報の拡散を依頼しても効果の期待値は上がりません。依頼の頻度、そして費用対効果とを考えて依頼するのがベストです。

インフルエンサーに対価を払って情報を拡散してもらえば、結果として一時的に売り上げが伸びるということになりますが、それはあくまでも「一時的」なものなのだということを知っておく必要があります。
情報を拡散してもらって「これで万事オーケー」または「これで安泰」ということではありません。そのままにしておくと継続した顧客数増と消費増には繋がりません。

他力本願だけで終わらない 情報発信を弛まずに続ける

インフルエンサーマーケティングの手法について書いてきましたが、ひとつ重要なことを補足しておきます。
インフルエンサーにより拡散された情報は、新しい情報が出るごとに視聴者の記憶に上書きされてしまいます。対価を払って拡散してもらった情報が記憶の中で上書き消去されないようにしなければなりません。
自身(自社)でも常に新しい情報を発信して、「反復による情報の定位と定着(刷り込み)」を消費者に促すことです。

テレビCMで幾度も幾度も繰り返し流される画面や音楽を多くの人が認知し、記憶に留めているのは、この「情報の定位と定着」によるものです。
とあるフレーズを聴けば、どの企業のものであるのか、はたまた、ある画面を観れば、どのブランドのものであるのかが分かるという経験があると思います。これが「情報の定位と定着」と呼ばれるものです。これを促すために情報を自身(自社)でも発信し続けるという企業努力も必要とします。

私の会社に所属している、俳優、タレント、アイドルたちは自身が「商品」です。多くの人たちに自身を知ってもらうために、各種のSNSで情報を発信し続けています。いわば、SNSを最大限に活用して自身の存在や活動を拡散しています。
いかに多くの人たちに自身のことを知ってもらえるのか、いかに多くのファンやフォロワーを獲得できるのか、それが人気のバロメーターになるのだということを皆が熟知しているからです。

終わりに

一般的に個人事業主や零細企業にありがちなのが、「自身(自社)で何とかする」という意識です。これは、重要なファクターであることは間違いないですが、同時に、危険も孕んでいます。
自身で何もかもやるのは素晴らしいことです。
でも、自身で何もかもをやるために費やす時間もコストです。コストと効果とを天秤に掛けて、客観的に考えることも、時には必要になるのではないかと思います。

株式会社サン・オフィス/代表取締役 東宮恵美